自力で歯並びを矯正して治せる?悪い生活習慣を紹介

自力で歯並びを治すことはできません。歯は硬い顎の骨に埋まっており、無理に力を加えると歯や顎に負荷がかかり、思わぬトラブルを引き起こす恐れがあるからです。歯並びの悪さの原因は、口呼吸や歯ぎしり、食いしばり、頬杖などです。本記事では自力での歯並びを治そうとした際のリスクや、歯科矯正の方法を解説します。

自力で歯並びを治すことはできない

「自分で歯並びを良くしたい」と、考える方もいるかもしれません。インターネットで調べると、割り箸を使って歯並びを改善する方法や、市販のマウスピースで矯正する方法などが紹介されています。しかし、歯医者に行かず自力で歯並びの矯正はできません。ここでは、自力で歯並びを治せない理由を解説します。

硬い顎の骨に歯が埋まっているから

歯は歯槽骨(しそうこつ)という顎の骨に埋まって、固定されています。これを自力で動かすことは不可能であり、仮に力を加え続け動かしたとしても、トラブルが発生する恐れがあります。歯並びを良くするためには、適切な力とタイミング、動かす方向や角度などを計算した上で、専門医による矯正治療を受けるのが大切です。

成長時期に合わせて治すことが必要だから

歯並びを改善するための矯正は、成長に合わせて実施すると効率が良いといわれています。したがって、子どものうちに矯正治療を受けることがおすすめです。成長段階の時期であれば、永久歯の歯列を整え、顎骨の正常な成長を獲得できる可能性が高くなります。大人も矯正で歯列や、噛み合わせを整えることは可能です。矯正装置を使用し、少しずつ歯列を調整していくことで、歯並びをきれいにできます。

適切な力を加える必要があるから

歯列矯正では、適切な力を加えることが重要です。自力で歯列を治そうとして無理に力をかけると、思わぬトラブルが発生するリスクがあります。歯や顎の成長度合いや、現状に合わせて力を調整する必要があり、それは専門医でなければできません。

自力で歯並びを治そうとすることの危険性

かえって歯並びが悪くなる

自分で歯並びを改善しようとすると、変に力が入ってしまったり、適切な方向に歯を移動させることができなかったりして、かえって歯並びや噛み合わせが悪くなる恐れがあります。歯科矯正はただ歯を動かすのではなく、現在の歯並びを確認し、歯科医師が動かす度合いや方向をミリ単位で決定しています。それにより、初めてきれいな歯並びを実現できるのです。

歯に大きなダメージを与える

歯や顎の骨に必要以上の力がかかり、ダメージを与えてしまいます。ダメージを受けた歯は、寿命が縮み、最悪の場合は抜けてしまうかもしれません。ペンチのような工具で無理に歯を動かそうとすれば、歯が欠けたり口内が傷ついたりと、予期せぬトラブルが発生するでしょう。

後戻りが起こる

無理やり歯並びを変えても、必ず後戻りが起こります。後戻りとは、歯が元の位置に戻ってしまう現象です。矯正治療でも起こりうることですが、治療では後戻りが発生しないように、保定装置を装着しています。これは自力で行うことは不可能であり、仮にできたとしても不適切な位置で保定してしまうと、歯並びが悪くなるでしょう。

歯並びが悪くなる悪い生活習慣

口呼吸

口呼吸によって、歯並びが悪くなるケースがあります。口呼吸は常にお口が開いている状態になり、お口周りの筋肉が緩みます。筋肉の緩みは歯への圧力が減り、出っ歯を誘発するのです。また、お口の中も乾燥しやすくなるので、ドライマウスになり歯周病や虫歯の原因にもなります。

下記記事では、歯並びが悪くなる原因について、歯並びの症状別に解説しています。

歯並びが悪い原因・リスク・治療方法(歯科矯正)を紹介

歯ぎしり・食いしばり

歯ぎしりや食いしばりは、強い力を歯や歯の根元にかかり歯が削れてしまいます。歯が削れると、嚙み合わせが悪くなります。また、歯にかかる力のバランスも悪くなるので、歯並びが悪くなったり、口内で痛みを感じる場所が出てきたりします。歯ぎしりや食いしばりの可能性がある場合は、早めに歯科医院を受診しましょう。
他にも、片方だけで咀嚼すると歯が削れたり、顎の発達バランスを悪くしたりする原因となり、結果として歯並びが悪くなります。

頬杖

頬杖も歯並びが悪くなる習慣の1つです。頬杖は大人であれば、頭の重さ約5kgという重量を顎の骨に預けている状態になるため、大きな負荷をかけています。頬杖によって顎に負担がかかると、顎がずれる恐れがあります。顎のずれは、その上に乗っている歯にも影響するので、歯並びや嚙み合わせも悪くなるかもしれません。無意識にしてしまうかもしれませんが、できるだけ避けましょう。

悪い歯並びの種類と特徴

出っ歯の特徴

出っ歯とは上顎前突と呼ばれ、上顎が下顎よりも過度に前に出ている状態です。原因は幼少期からの長期にわたる指しゃぶりや、遺伝などといわれています。出っ歯だとお口が閉じにくくなり、口腔内が乾燥しやすくなります。口腔内の乾燥は、虫歯や歯周病の原因になるため、注意が必要です。

受け口の特徴

受け口(下顎前突)は、下の歯列や顎が上顎よりも前に出ている状態です。見た目には、顎がしゃくれているようになります。受け口は咀嚼がうまくできず、子どもであれば体全体の発育にも影響を及ぼす危険性があります。下顎は腰や首、肩と密接に関係しているためです。顎関節症の原因にもなるため、早急な治療が求められます。

乱ぐい歯の特徴

乱ぐい歯は叢生(そうせい)と呼ばれており、がたがたした歯並びを指します。八重歯もその一種で、顎に対して歯が大きかったり、顎が発育不十分だったりすることが原因です。歯磨きがしにくいため、虫歯や歯周病になるリスクが高まります。

開咬(かいこう)の特徴

開咬は口を閉じたときに、奥歯は嚙み合わさるものの前歯が合わず、上下の歯列に隙間が生じる状態で、オープンバイトと呼ばれることもあります。遺伝による骨格の問題や、口呼吸、指しゃぶりなどが原因です。

歯並びが悪いと起こる問題

噛み合わせの異常

歯並びが悪いと上下の歯がうまく嚙み合わず、噛み合わせが悪くなります。噛み合わせの悪さは、下記のようなさまざまなデメリットをもたらします。

・ 歯磨きがうまくできず虫歯や歯周病になる
・ 口呼吸の癖がつき口腔内が乾燥して口臭の原因になる
・ 舌が当たる位置が変わり、正しい発音ができない
・ 顔のバランスが崩れる

顔全体にも影響が出るため、歯並びはとても大切です。

筋肉が衰える

正しく咀嚼できないため、お口周りの筋肉が緩む恐れがあります。きちんと咀嚼することで顎が正常に発達し、きれいな歯並びになります。

歯並び矯正の種類と費用

ワイヤー矯正の特徴と費用

ワイヤー矯正は歯にワイヤーと、それを通すためのブラケットを装着し矯正する方法です。ワイヤーで歯に力を加えて、徐々に歯を動かしていきます。適応できる症例が多いため、他の矯正方法では対応できない矯正治療も、ワイヤー矯正なら治療できる可能性があります。費用は全体矯正・部分矯正、表側矯正・裏側矯正など、矯正箇所や矯正器具の設置個所によって異なり、ブラケットやワイヤーの素材を目立ちにくいものにすることでも変化します。費用目安は、奥歯を含む全体矯正で約60万円~100万円程度です。全体矯正の場合、治療が完了するまでに1年~3年かかります。

下記記事では大人の歯科矯正の種類と、費用相場について解説しています。おおまかな費用を知りたい方は、ご確認ください。

大人の歯科矯正(歯列矯正)治療の種類・費用相場は?

マウスピース矯正の特徴と費用

マウスピース矯正は、患者さまの歯列にあったマウスピースを作成し、それを装着して少しずつ歯を動かしていく方法です。透明な樹脂素材のため、ワイヤー矯正よりも目立ちにくいことが特徴です。また、歯磨き中や食事中は取り外すことが可能なため、口腔内を清潔に保ちやすいです。費用は奥歯を含む全体矯正の場合で、約80万円~100万円程度かかります。治療期間は全体矯正の場合で、1年~3年ほどでしょう。

セラミック矯正の特徴と費用

セラミック矯正とは患者さまの歯を削り、その上にセラミックの被せ物をする矯正方法です。ワイヤー矯正・マウスピース矯正よりも、短期間で治療は完了します。しかし、被せ物をしているだけですので、歯を動かして歯並びを改善するわけではありません。費用の相場は、1本あたり4万円~15万円です。

まとめ

自力で歯並びを良くすることはできず、無理に歯に力を加えるとかえって歯並びが悪くなったり、歯がダメージを受けたりします。歯並びが悪くなる原因には、歯ぎしりや食いしばり、頬杖、口呼吸などが挙げられます。歯並びの悪さは、噛み合わせの異常やお口周りの筋肉の衰えを誘発するため、なるべく早めに治療したほうが良いでしょう。矯正方法にはワイヤー矯正、マウスピース矯正、セラミック矯正がありますが、価格や治療期間が異なります。歯並びを治したいと考えている方は、まずは歯科医院にご相談ください
下記記事では、当院のマウスピース矯正についてご紹介しています。マウスピース矯正を検討している場合は、ご確認ください。

当院のマウスピース矯正(インビザライン)治療についてはこちら

監修ドクターの紹介

林 伸至
東京先進医療クリニック
歯科・口腔外科 診療部長
歯科医師
林 伸至
Shinji Hayashi

学歴
2003年 愛知学院大学歯学部 卒業
経歴
2003年 医療法人林歯科医院 勤務
2009年 ロイヤルデンタル林 開業
2016年 中之島デンタルクリニック 院長
2018年 東京先進医療クリニック 入職
資格
Invisalign CERTIFICATE

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